米国ワークアウトトレンド:Active Intelligence

フィットネスブームが益々加熱する米国では、我々のヘルス・ウェルネスに対する欲求を満足させるべく、常に新鮮で新しいワークアウトやアプローチが次々と誕生。 かつては、「no pain, no gain」(痛みなくして得るもの無し)、つまり苦労なくして得られるものはないという風潮がワークアウトにも色濃くみられたが、2019年、その流れはスローダウンし、LIT(Low Intensity Training)低強度のトレーニングとストレッチを組み合わせたスマートなアプローチがワークアウトでも主流になると言われている。 またテクノロジーの更なる進化により、自分の体をスキャン・モニタリングしながら体にあったワークアウトオプションを提案してくれるアプリの誕生やVR(バーチャルリアリティ)を使ったVR Fitnessなるものも2019年にはメジャーになりそうだ。 今までのがむしゃらなワークアウトや痛みなくして得るもの無しといったコンセプトから、より効率的で個のニーズにあったActive Intelligenceの流れが盛んになってきている。 注目のトレンドを中心にご紹介いたします。


◆トレンド1: LIT  The LIT Method

8474 W 3rd Street
Los Angeles, CA
https://www.litmethod.com/
The LIT Method
http://thehealthandfitnessclub.com/the-low-impact-workout-that-will-make-you-sweat/
http://www.amberevents.com/interview-taylor-gainor-of-lit-method/

昨今人気の高強度インターバルトレニングのHIITや、様々な実用的な動作を高い度合いで行うストレングスコンディショニングプログラムCrossFitにとって代わるよりスマートなワークアウトとして、関節や骨に負担の少ない高強度トレーニングLIT(Low Impact Training)が、2019年ワークアウトに革命を起こすと言われている。LITは、エクササイズバンドを使用したワークアウトをローイングマシーン(室内でボートを漕ぐのと同様のエクササイズができる器具)やピラテスの要素に組み込んだワークアウトで、ランニング、ジャンピングやウェイトトレーニングは含まれない。関節や骨に負担の少ないトレーニングであるが、負荷が大きくキツイ。
このLITワークアウトを牽引するのがLAを拠点に、公私共にパートナーであるJustin NorrisとTaylor Gainorが2016年に設立したThe LIT Method。
Justin とTaylorは、CrossFitやその他のブートキャンプクラスで損傷を負ったクライアントを沢山見る中で、体を疲弊させるエクササイズではなく、ローインパクトトレーニングを通じて、より効果的で、持続性があり、身体的にも精神的にも挑戦し甲斐のある“フォームを中心とするワークアウト”を考案した。50分のメニューにはローイング器具上でのカーディオエクササイズ、マット上での腕立て伏せ、腹筋、体幹トレーニング、エクササイズバンドを使用したワークアウトで構成されている。
価格:1クラス($20)。

◆トレンド2: VR (バーチャルリアリティ)

2019年は、大きなスクリーンから進化した、パーソナライズされたハイデフィ二ションのバーチャルリアリティフィットネスが主流になると予想される。VR/AR、ビデオゲーム、モバイルを中心に投資を行う英投資銀行Digi-Capital(https://www.digi-capital.com/)によると、2017年に、高成長を遂げるVR市場に30億ドル以上の投資がもたらされた。
事例Black Box VR(https://www.blackbox-vr.com/)は、アイダホ州ボイシを拠点に、2016年にフィットネスグルRyan DeLucaとPreston Lewisが設立したスタートアップ企業。革新的な商品や人々の生活に長期的な変化をもたらす経験を生みだすことで、フィットネス業界にディスラプションをもたらした。
バーチャルリアリティに、筋に負をかけたレジスタンストレーニングと激しい有酸素運動そしてゲームの体験要素を組み合わせることで、多くの人にとって退屈でマンネリになりやすいジムでのワークアウトを解消し、ゲームを楽しみながら個々の健康やフィットネスゴールを達成する40分のバーチャルリアリティワークアウトを考案した。
このワークアウトは、Black Box社が開発したDynamic Resistance Machineを使用し、世界初のハンズフリーバーチャルリアリティとヘッドセットを装着して行われる。トレーナーや化学者によって作成されたワークアウトプログラムは根拠に基づき、体を改善するための、最適量のエクササイズが各ボディパーツに行き渡るようにデザインされている。
Black Box VRは、2018年1月ラスベガスで開催されたConsumer Electronics ShowでCES Innovation Awardを受賞。

Black Box VR
https://www.forbes.com/sites/zarastone/2018/01/30/black-box-vr-brings-virtual-reality-fitness-to-the-san-francisco-mass-market/#27994ad26bd9

◆トレンド3: Bio-Hacking

バイオハッキングとは、テクノロジーを使用して、自分の体のバイオロジーやフィットネス習慣をハッキングすることで、ライフスタイル全般を改善するプロセス。最新のバイオハッキングは、3Dボディスキャナーを導入し、よりパーソナライズされたユーザーのフィットネス体験を提供する。

事例①Naked Fit (https://naked.fit/

Naked Fit
https://fitnessgoals.com/naked-3d-fitness-tracker/
https://www.wareable.com/health-and-wellbeing/naked-3d-fitness-tracker-mirror

サンフランシスコを拠点にするスタートアップNaked Labが、世界初の3Dボディスキャナーを搭載した3Dフィットネストラッカーシステムを開発。CEO兼共同設立者のFarhad Farahbakhshiabによると、このNaked 3Dフィットネストラッカーは、日々の体の変化を計測したいという個人や、家族を対象に設計されたという。このシステムは、インターネットに接続された等身大鏡とワイヤレスに再充電可能なスケールを使用。使用者は、①等身大鏡の前に設置されたスケールに乗る。②等身大鏡に埋め込まれたIntel社のRealSense Depthセンサーが、20秒で全身を測定。③測定が終わったら正確な3Dボディモデル、測定、体脂肪率、体重をNakedアプリ経由で3Dイメージで確認、分析そして体の変化を追跡することができる。
また、体のどの筋肉が増加しているか、またはどの部分の脂肪が減少しているかなど一瞬にしてビジュアルで確認することができるという優れもの。価格$1395。

◆トレンド4: Now-Age Wellness

数値化されたワークアウトのアンチテーゼとして、昨今のWellnessは、占星術、自然、神秘的な行事、サウンドヒーリング、瞑想をミックスしたよりスピリチュアルなアプローチを採り入れ、心身の穏やかな均衡状態を維持することを目的としている。

事例: ①WMN SPACE

10764 Washington Blvd,
Culver City, CA 90232
http://wmnspace.com/
WMN SPACE
http://picbear.online/wmn_space

WMNは、Paula MallisによってLAに設立された女性のエンパワーメントを目的としたスペースで、女性の健康について、ボディワーク、セラピー、スピリチュアルカウンセリング、ワークショップ、女性の集まりやイベントといったヒーリング療法に特化した様々なサービスを提供して注目されている。
“Healing Trauma Through Yoga”というヨガを通してトラウマを癒すクラスは、生徒一人が抱える、精神及び身体に捕らわれたエネルギーの解放をおこなうことを目的としたクラス。この穏やかで、トラウマ理解に基づく瞑想は、軽い動きを伴い、自然な呼吸法と姿勢に焦点を充てることで、リラクゼーションやマインドフルネスを促進させ、生徒たちがグランディング(無気力、不安定な気持ち、本来の自分自身でいられるように自分の中心と繫がり、不必要な感情やエネルギーを手放し浄化する方法の意)や心身のバランスをとることを手助けする。

#Me Too Movement

Me too=「私も」にハッシュタグをつけたSNS用語。2017年にThe New York Times誌が2015年からセクハラ疑惑のあったハリウッドプロデューサーHarvey Weinsteinを告発。これを機に同様の被害を受けたことのある女性達が「#Me Too」と声を上げるようになり、「#Me too」運動が米国全土から世界規模に展開されている。
この#Me Too Movementは、フィットネス業界にも多大なるインパクトを与え、先見的なジムでは、アンチハラスメントポリシーを導入するところもある。また、「UPLIFT STUDIO」(https://www.upliftstudios.com/)や「Total Women Gym & Spa」(https://www.totalwomanspa.com/)といった女性専用のジムも米国内で増加傾向にある。



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