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拡大する“ギャル男”市場、洗練されてゆくギャル男系ファッションの今
■とにかく自分を“かっこよく”見せたいギャル男たち
10代後半~20代のメンズをファッションマインドで分類すると、大きくは3タイプに分けられる(下図右参照)。ファッションで主張することを好まず、そこそこ今っぽさを押さえていればOKの「ナチュ男系」(ナチュ=ナチュラル)、ファッションは自分を表現する手段だと思っている「ストリート系」、そしてファッションは自分をかっこ良く見せる術と捉えている「ギャル男系」である。“かっこよく”の背景には、女性に“モテたい”という心理があり、男っぽさを強調した分かりやすいセクシースタイルが特徴的。人目につく派手なアイテムやブランド品を好む傾向も見られる。
■ アウトローの象徴から、広まるギャル男系ファッション
不況の最中に誕生した“ギャル男”スタイルは、現代社会に反発する若者の姿を象徴する存在としてメディアに取り上げられることが多かった。当時の彼らのスタイルは、ファッション云々よりも、ただ単に“目立つ”ことが優先されていたようだ。その後、ギャル男たちのアイコンになるような芸能人の登場や、彼ら好みのセクシーテイストなブランドが続々立ち上がるなど、ギャル男という存在感とともにファッションスタイルも徐々に世の中に広まった。 2006年3月、109-②にメンズフロアがオープンし、セクシー系ドメスティックブランドが集積したことによって、ギャル男系ファッションの幅が広がった。裏原にセクシー系メンズブランドのショップが続々オープンしたり、郊外SCにもギャル男系ショップが増加するなど、そのニーズの高まりを感じさせる話題はあったが、109-②のメンズフロアの誕生は、それを決定づける出来事になったといえる。
■ 分かりやすいギャル男系ファッションは、ティーンの登竜門
女の子に一歩遅れて、男の子も一般的に10代半ば~10代後半頃、仲間や異性の目を意識しておしゃれに目覚める。ファッションに関する知識もお金もないティーンにとってギャル男系ファッションは、細身のシルエットや深く開いたネックラインでセクシーさをアピール、ヘアスタイルは明るめに染めてトップにボリュームを持たせ、襟足は長めにする、というように他のファッションタイプと比べ分かりやすく、おしゃれ感と色気を難なく出せるスタイルである。また、ギャル男系のショップやブランドが増え、以前よりアプローチしやすくなっている。97年頃のギャル男第一世代と比較すると奇抜さや突飛さに欠け、やや物足りなさも感じるが、パイとしては確実に拡大しているといえる。毒気が薄まり“スマート”になりつつあるギャル男は、今後どのような進化(深化)を遂げていくのか、動向が気になるところだ。
最新!ギャル男系ファッション テイスト別ポジショニングマップ
以前は単一的であったギャル男系ファッションも、成熟過程において、いくつかのタイプに分類。現在、注目されるのは「お兄系」「ロック系」「ホスト系」「サーフ系」の4タイプ。テイスト別に以下のようにポジショニングされる。
メンズファッション×マインドマップ
“ギャル男”と捉えると、市場規模が狭まってしまうが、ギャル男的要素を持った“セクシー”メンズとすると、マーケットが大きく広がる。特に10代(中高生)男子は、ギャル男でなくとも、セクシー要素が取り込まれているケースが目立つ(洋服はストリート系で、ヘアスタイルはギャル男風など)。自分スタイルが確立していないオシャレ発展途上のティーンズ層にとって、ギャル男スタイルは最も明快なオシャレ手段と言える。
ギャル男マーケットが確立する中で、若年メンズが、これからどのようなファッション過程を辿るのかという点も注目していきたい。