そもそも音楽フェスは、60年代のアメリカのロックフェスから日本に流入し、80年代のバンドブームで人気が過熱、97年の「FUJI ROCK FESTIVAL」の開催から人々の生活に定着したと言われています。一日中好きな音楽を聞いて騒いで踊ることが従来の音楽フェスの楽しみ方でしたが、現在、その楽しみ方は、世代の消費志向の変化と共にバリエーションが広がってきているようです。「GREENROOM FESTIVAL」の特徴は、何と言っても、ライブパフォーマンスが行われているだけでなく、有名アパレルブランドの限定商品の販売ブースや人気のグラフィックアーティストによって描かれたアートパネル前での撮影コーナーが立ち並んでおり、買い物やインスタ投稿を楽しむ若者で溢れているところです。さらには映画鑑賞やヨガクラスまで開催されており、多ジャンルのコンテンツに誰でも気軽に参加することができるのです。私も空いた時間を使って青空の下で行われるヨガクラスやTシャツのスクリーンプリンティング体験に参加してみたのですが、全コンテンツを楽しむには1日では到底足りず、普段できないような体験をしていると気づけばあっという間に日は暮れており、充実感でいっぱいになりました。そこで気がついたことは「GREENROOM FESTIVAL」が「音楽を楽しむことをベースに、若者が好きなコトを詰め込んだ一種の“アミューズメントパーク”」になっているということ。参加者はスマホを片手に仲間との写真を撮影しあい、一つの体験を楽しみ終えると次の体験スペースへと足を運んでいく、その姿はまるでアトラクションを楽しむ遊園地の光景に似ているように見えました。
LINE世代は、SNSによっていくつものコミュニティを持ち、その中で自分を使いわけることが当たり前となっています。そのような背景もあってか、フェスなどのリアルな場でも、一つの枠や場所に囚われることに、どこか物足りなさを感じてしまうのではないでしょうか。「GREENROOM FESTIVAL」には、そんな物足りなさを感じさせない欲張りな仕掛けが多数あり、多くの選択肢の中から自分の興味に合わせて自由にカスタマイズして過ごすことができます。これこそが、今どきの若者の心を捉えた大きなポイントではないでしょうか。
※1:ぴあ総研「ライブ・エンタテインメント市場規模調査」より