ここ数年「空前のペットブーム」が到来しており、飼育のしやすさから特に猫に注目が集まり、飼育数は犬と同程度になったと聞きます。癒しを求めた単身女性が牽引してきたと言われていますが、これをきっかけに、実際に飼えない人でも動物と触れ合える多種多様の動物カフェも登場しはじめました。 最近では蛇などにフォーカスを当てた爬虫類カフェが存在するなど、一見すると癒しとは程遠い動物たちが、実は今、若者に最もウケているそうです。今回はその一風変わった動物カフェの実態と若者が何を求めてその場に足を運ぶのか、その訳を探ってきました。
今回私が訪問したのは、店舗によって触れ合える動物の種類が異なるのが売りである、都心部で他店舗展開している動物カフェです。その中で注目したのは、ハリネズミやカワウソなどとの触れ合いや餌やりが体験出来る店舗です。予想よりも広いスペースの店内は多くのお客さんたちで賑わっており、人気の動物と触れ合うには順番待ちが必要なほどでした。カラオケボックスのようなシステムで、延長可能な30分1,500円のコースにドリンク1杯と動物への餌が含まれているのですが、ほとんどのお客さんたちが1~2時間は滞在するような状況です。10代~20代のカップルや女性グループが多く、店内ではスマートフォン片手に、思い思いに撮影してはSNSにアップしている姿が印象的でした。
私自身、珍しい動物といえども、そもそも動物カフェには癒しを求めてくる人が多いのだろうと考えていました。世の中がデジタル化し、人と繋がっているとしてもSNSという無機質なものと向き合っている中で、直感的に生き物の温かみなどに素直に触れたいという気持ちがあったり、反応を気にしなくてもよい生き物と触れ合い、ゆったりと落ち着いた時間を過ごせることが人気の秘密だと仮説を立てていたのです。しかしながら、実際にはSNSネタとしてアップする人が多い状況を目の当たりにし、スマートフォンを片手に無意識のうちに魅力的なネタを常に探し求めていることを実感したのです。その一方で、インスタを見ると動物カフェで癒やされてきた、実際に行ってみたい、触れ合いたいなどのコメントが多く見受けられます。つまり、今どきの若者は、癒されながら「いいね!」の確保が見込め、新しいものに敏感な自分であることは外さないようにし、相反して見える2つのことを同時にちゃっかり行っているのです。一風変わった動物カフェに人気が集まるのは、「リアルな癒し」と「デジタルの中での自分ブランディング」その両方の要素を満たす事が出来る場であるからではないでしょうか。
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