今や「健康志向」は当たり前のものとなり、街中にはホットヨガや24H営業のジム、パーソナルジムなど、多種多様なフィットネスジムが立ち並んでいます。特に震災後は、「足元を見つめ直した土台作り」といった生活者気分から「資本としての自分を鍛えるストイック系フィットネス」が人気となり定着しました。 それから5年以上が経った今、リラックスや疲労回復を目的としたスタジオも現れ始め、新たなトレンドの兆しを見せています。そんな中、トレンドを逆行するかのようにストイック系エクササイズに取り組む若者が増えているとよく耳にするようになり、今回私は、短時間で集中的に鍛える事ができるとインスタで話題のボクササイズを体験し、若者から注目を集める理由を考察したいと思います。
今回体験した「b‑monster」は、NYでも最先端の格闘系フィットネスを取り入れたフィットネススタジオです。クラブで踊るような感覚で心身ともにリフレッシュすることができ、楽しみながらトレーニングが行える新しいカタチのサービスを提供しています。「45分間で1,000kcalの消費を目指す」と謳っているだけあり、実際のプログラムは想像以上にハードなものでした。シャドーボクシングの型を基本に、筋トレを織り交ぜながらのノンストップ45分間。中でも最後の15分程は実際にグローブをはめて思いっきりサンドバックを叩くのですが、体は既に限界状態です。大音量の音楽に合わせ、周囲と一体となって自身の限界と戦う高揚感を得ながらのトレーニングには、ある種の爽快感がありました。
そして、1番特徴的だと感じたのは、その空間演出でした。限界を目指し、なりふり構わず運動している姿は人前には晒したくないものですが、スタジオ内の照明があえて暗く設定されており、人目を気にせず没頭できるように工夫されていたのです。
私たちLINE世代にとって”繋がりを感じること”は、日々のSNSを通して当たり前のこととなっています。一方で常に人の目を気にしてしまうようなところもあり、「パーソナルな空間を大事にしたい」、「一人になりたい」という思いも持っています。
今回、私が魅力的に感じたのは、「みんなでキツイトレーニングを頑張っているという一体感」を感じながらも、周りの目を気にする事なく「自分のペースで自分のワーク」に没頭できた点だと思います。
LINE世代にとっては、物理的・空間的に「一人である・いる」だけでなく、何かと繋がっていながらどんな状況下でも、「一人モード」になれることが重要なのではないかと考えます。「b‑monster」が若者から支持されるのは、「人との距離感」をうまく捉えた空間演出と、効果も期待できるプログラムという2点の特徴が相まって、若者の心を掴んだからではないかと改めて納得してきました。
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