ここ数年、自己表現の1つとして「カスタマイズ」できるファッションアイテムや雑貨が増え、若者の間で注目が集まりはじめています。出来上がったモノにワンポイントだけカスタマイズを加えるものから、好きなデザインや素材を組み合わせて自分だけのスニーカーを作ってくれるサービスまで幅広く登場しており、誰でも気軽にそのときの気分や状況に合わせて“自分らしいカスタマイズ”を楽しめるようになりました。 そこで今回は、ばなな世代(1965~1970年生まれ)の先輩と世界にたった1つのオリジナル靴下作りに挑戦する中で感じてきた、自己表現やカスタマイズへの意識の違いについてレポートしたいと思います。
今回私たちが挑戦してきたのは、パソコンで描いたイラストを靴下編み機が作ってくれるというものです。1組30分の持ち時間の中で、店員さんからパソコンの操作説明を受け、しばらく操作の練習をした後にイラストを描き、2週間後に出来上がった靴下を郵送してくれるというサービスです。私たちが体験したのは平日でしたが、休日だと数時間待ちになることもあるそうで、学生や親子のお客さんなど幅広い世代からの支持を得ている様子が窺えました。私は事前にある程度デザインを考えてから臨んだのですが、パソコンで絵を描くのは想像以上に難しく、結局失敗するのを恐れて、先輩のデザインをちらちら見ながらできるだけシンプルにし、その上、色も6色使えたのですが、白と黒の無難な色合いに変更してしまいました。
しかし、先輩はパソコンの操作に手を焼きつつも練習段階から店員さんにたくさん質問をしており、6色という色の制限があることを残念がるほどオリジナリティ溢れる靴下作りに積極的でした。
私はカスタマイズに関心はあったものの、正直なところ、自己表現することに少々気恥ずかしさもあったので、そのことを先輩に伝えてみると「なんで恥ずかしいの?せっかくオリジナルのものが作れる機会なのに。」と言われてしまい、やっぱり先輩のスタンスとはちがうものだと改めて思いました。
ばなな世代は気負わずに自分らしさを表現できるのに対し、LINE世代には周囲に同調する特徴があります。私自身も今まで、旅先で友人とお揃いのグッズを購入したり、テーマパークでペアルックをしたりといった「周囲と同じであること」を楽しんできました。カスタマイズするにしても、リンクコーデのようにポイントだけちょっと変えたりする程度だったため、オリジナルとなると少し構えてしまう部分がどうしても出てしまったようです。
今回の靴下作りは、先輩にとっては「自分だけのオリジナルのものを作る」という感覚。私にとっては、「先輩と一緒に、おそろい感覚で靴下を作る」というもの。
この体験を通じて、ひとことで「カスタマイズ」と言ってもそこに含まれる捉え方のニュアンスは世代によって異なること、そして「おそろい文化」を経験してきたLINE世代にとっては、「カスタマイズもおそろいの延長」として捉えている部分があるのではと、実感した次第です。
オリジナル靴下作り
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(先輩からのコメント)
今回私は、事前準備なしで当日PCに向かい、その場の気分とノリで楽しみながら気楽にイラストを描いてきましたが、LINE世代の後輩は、事前に準備して臨み、かつ失敗を恐れていたことを知って驚いています。
またこの世代は、SNSでの活発な発信により自己表現が得意なイメージがあったので「少し気恥ずかしかった」ということも意外でした。カスタマイズが売りにもかかわらず、“誰かとちょっとしたおそろい感覚”というのは、私には考えつかなかったことでした。様々な世代で同様のコト体験をしても見え方、感じ方はとても違う、ということを発見した一日となりました。
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