NYバーバーブーム再熱:メンズグルーミング事情

courtesy of Art Shaving 

近年メンズグルーミングカテゴリーの成長が目覚しい。UKを拠点にするオンライン新聞Independent.co.uk(http://www.independent.co.uk/)によると、2013年、初めてシェービングアイテムよりも身嗜みや嗜好を目的としたトイレタリーにお金をかける男性が初めて上回った。またメンズハイエンドショッピングサイト「MR. Porter」(https://www.mrporter.com/en-us/?spinlogo=1)は、同カテゴリーの2015年度の売り上げが前年比300%増となったと報告。2016年度の世界のグルーミング業界における総売り上げは2300億円を記録したと言われており、メンズグルーミングは注目高い。


メンズグルーミングの消費が勢いづく背景には、身嗜みを整えるためにお金をかけることを厭わないミレニアル世代の台頭や、男性が身嗜みを整える由緒正しき場所としてバーバーが見直され始めたことにある。美容院の著しい台頭によって、一時は床屋離れが深刻な状況になったが、近年50・60年代のクラシカルなレトロファッションのリバイバルに伴い、刈り上げ、七三わけといった短い髪型、スーツの流行、そして男らしさの象徴として髭ブームが復活。また、60年代のニューヨーク・マディソンアベニューの広告代理店を舞台に、テレビシリーズ化され大成功を収めた「Mad Men」の主人公Don Draperのダンディーな七三わけとスーツスタイル、ハリウッドの大御所スター、ブラッド・ピットやジュード・ロウの髭人気も人々の床屋への回帰を促したと要因といえよう。
またカフェと理髪店の複合店の出現によって絶えず人が集まり、理髪や髭を整えるだけでなく、自分へのご褒美として自分をケアすること、コーヒー、エスプレッソやビールを片手に仲間との時間を楽しむために床屋へ行く人々が増えた。地域に根付いた男性の社交場としてバーバーブームが世界的に旋風を巻き起こしている。現在NYで人気のバーバーやグルーミングブランドをご紹介させていただきます。

courtesy of Shorem Barbier
courtesy of Shorem Barbier

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NYの再バーバーブームの火付け役とも言われているのがローワーイーストサイドのバワリー地区の路地裏にあるFreeman’s Sporting Club。(http://freemanssportingclub.com/)レストランからスタートし、メンズショップそしてバーバーを併設。1950年代の古きよき時代を彷彿させるようなクラッシックを重点的にしたバーバーは、地元コミュニティに密接した仲間のたまり場となっている。

■Blind Barber
https://www.blindbarber.com/

courtesy of Blind Barber
courtesy of Blind Barber

NYを拠点にJeff Laub, Adam KirschとJosh Boydの3人が2010年に設立したバーバー。伝統的なバーバーとは異なる、カフェとラウンジに理髪店が併設されたハイブリッド店として設立当初から注目され、現在はNY市内(イーストビレッジとバーニーズニューヨークチェルシー店内)に2店舗、ブルックリンとLAに計4店舗を構える。1920年代の「もぐり酒場」をモダンにアレンジしたバーラウンジと、バーラウンジから隠れた場所にあるバーバーということで、「Blind Barber」というネーミングに至った。
バーバーでの全てのサービス(ヘアカット$45, 髭剃り$50, トリム$20-$25(髪・髭))には好きなドリンク1杯がつき、ヘアカット、髭剃りやトリム後、コーヒーやカクテルをのみながら集まってきた人々と交流を深める社交場になっている。また特筆すべきは、アルコールからインスピレーションを受けて開発したBlind Barberオリジナルのメンズヘアケア・グルーミンググッズライン。高品質な植物とビールやアルコール飲料の香り付けで知られる有機認定ホップをブレンドし、皮膚に優しく髪がまとまりやすい成分を配合。シャンプー(ボディウォッシュ兼)、コンディショナー、ヘアポマード、シェービングクリーム、フェイシャルクレンザーを展開し店内での販売のほか、オンラインでの販売及びBarneys, Nordstrom, Urban Outfitters他の小売店にも卸している。またBlind Barber商品のカスタム定期購買プラン「Regimen」サービスも行っている。(オンライン上のMy Regimenアカウントから操作できるようになっている)
最近ではブティックホテル「Arlo Hudson Square」(http://www.arlohotels.com/)とパートナーシップを締結し、ホテルのアメニティにBlind Barberの商品が使われている。

■Persons of Interest
http://www.personsofinterestbklyn.com/

Persons of Interest
courtesy of Persons Interest and Parlor Coffee

TVプロデューサーSteve Marks氏がブルックリンのウィリアムズバーグにオープンしたバーバーショップ。スタイリッシュな男性でひしめき合うバーバーショップとして知られ、現在はブルックリンのウィリアムズバーグ、フォートグリーン、キャロルガーデンに3店舗を展開。
ブルックリンを拠点にするコーヒーロースター「Parlor Coffee」(https://parlorcoffee.com/)のオーナーDillon Edwards氏とパートナーシップを結び、バーバーショップの後ろに小さなエスプレッソバーを併設。「ヘアカットに$45を出せる人はコーヒーにも$5を支払うだろう」という目論見からこの複合店は誕生した。顧客の要望どおりの完璧なスタイルをいとも簡単に作りだすヘアードレッサー、ハイエンドな要素と昔ながらのバーバーショップがもつ暖かい雰囲気が相俟った男性達が寛いで過ごせるスペースとなっている。

■Fellow Barber
http://www.fellowbarber.com/

Fellow Barber
Courtesy of Fellow Barber

近年のNYバーバーブーム再熱の先駆けと呼ばれるFellow Barber。同店は元オフロードのバイクレーサーでFreeman’s Sporting ClubのオーナーでもあるSam Buffaが2006年にソーホーに立ち上げたレトロモダンを基調とするクラシックなバーバー。以前この界隈にはコンテンポラリーバーバーは存在せず、ハイエンドな美容室で予約をとりヘアカット($90+)をするか、近場のバーバーでヘアスタイルのオプションの少ない中、散髪($12+)をするしか選択肢がなかった。Buffa氏は「手頃な価格帯でスタイリッシュでクウォリティの高いヘアスタイルを独自の理容サービスとともに提供したい」との想いに駆られ、Fellow Barberをオープンした。
Fellow Barberでは、ヘアカット($45)、髭のトリム($18)他、ヘアカットと髭剃り($85)、ヘアカットと髭のトリム($63)のコンボメニューや二日酔いメニューを提供。現在では、NY市内に3店舗、ブルックリンに1店舗、サンフランシスコに2店舗を構えるまでに成長した。また品質に拘ったオリジナルのグルーミング商品(ポマード、ヘアクリーム、アフターシェイブローション、アフターシェイブトニック、シェイブクリーム、シャンプー他)を開発。全ての商品はパラベン、硫酸塩を一切使用せず米国で製造されている。オリジナルのグルーミングラインはバーバーショップ内及びWest Elm, Urban Outfitters やJ Crew他全米内の小売店やバーバーショップで取り扱いが行われている。
最近ではNYの人気アパレル・ライフスタイルブランドSaturday NYC(https://www.saturdaysnyc.com/)が3月中旬にオリジナルのヘアスタイリング・グルーミングラインをローンチ。米国で生産された石油由来成分を含まないWet Wax, Grooming Cream, 蜜ロウベースのClay Pomadeの3種類を展開。

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今後もメンズグルーミングのカテゴリーは益々盛り上がりをみせ、多くのメンズアパレルブランドやライフスタイルブランド、またバーバーショップがオリジナルの商品を発表してくのではないかと予想する。またバーバーショップとコーヒーショップ、バーバーショップとバーといったような複合型のハイブリッド店舗のオープンも期待される。


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