◆食に対する独自の価値観
フロリダ州ジャクソンビルを拠点にするマーケティング会社Acosta(https://www.acosta.com/)の調べによると、Gen Zの先発組は大学を卒業後、親元を離れて自活するようになり、食料品の買い物も自身で行くようになった。現在、Gen Zの18歳以上の買い物客は7%、毎月$269を食料品の買い物に費す。このグループは、他世代に比べ、買い物客としては最も小さい割合で、最も出費が少ない。これに対し、ミレニアルズのショッパーは27%、毎月$298を出費、Gen Xは26%、$380の出費だという。Gen Zは他世代に比べ、買い物客としての割合が未だ小さく出費も少ないが、彼らの嗜好が食業界に及ぼす影響は無視出来ないといわれている。
ニューヨーク州ポートワシントンを拠点とするマーケットリサーチ会社The NPD Group (https://www.npd.com/wps/portal/npd/us/home/)によると、Gen Zの多くは、Gen Xを両親に持ち、物の品質に対して優れた判断力をもつ。これは食にも当て嵌まり、食の品質に関しても他世代よりもより強い拘りを持っている。現に、この世代のオーガニック食品、飲料水、Non-G.M.O.食品の消費量は、他世代に比べて最も割合が高い。この背景には、彼らが自分自身に対して現実的で誠実であるように育てられたと同じように、食に対しても本物を求める傾向が強いからだと言える。また、幼少の頃から食の味覚だけでなく、食の機能や栄養上の価値についても両親から学び、食に関するする独自の価値観を持っていることも特徴。
・ミレニアルズとの比較
Gen Zは、ミレニアル世代と同様に、原産地、原材料の表示、添加物の不使用、食品や飲料水の製造過程の透明性や食品の鮮度、安全性や真正性を重視。一方で、ミレニアルズよりも、ホリスティックな視点を持ち、クリーンイーティング(できる限り自然に近い形の食物を食べること)を採り入れている人が多い。クリーンイーティングこそが人生の質を改善し、新鮮な食品が彼らの人生の重要な役割を果たしていると信じている。また、大手の食品ブランドに対しての見解も違う。ミレニアルズがローカル、ニッチ、スモールブランドを好むのに対し、Gen Zは、ブランドの大小に関わらずブランドが持つストーリーや価値をより重視する傾向にある。従来の世代とは異なり、食のトレンドを自らフォローするのではなく、食業界が彼らの食に対するニーズを理解しフォローするべきだという期待を抱いているという。
・キーフード
食事の多様性、ヴィーガン食の台頭、フレキシタリアン(ヴィーガン+フレキシブルを掛け合わせた造語。基本はベジタリアンだが、食事に対して柔軟な選択が出来る)。
・フードインフルエンサーの台頭
テックネイティブなGen Zは、自分達の料理をSNSに投稿したり、次はどこで何を食べようかといった食事のアイディアまで全て、ソーシャルメディアからの情報収集が彼らの日常。こうした中で若いフードブロガーや、ティーンシェフといったフードインフルエンサーが台頭し、多くのフォロワーを獲得している。彼らは、料理本の出版、TVへの出演、レストランやフードコンセプトショップを出店するなど、食業界で着実にキャリアを築いている。
◆フードインフルエンサー
Flynn McGarry (ティーンシェフ)
https://www.instagram.com/diningwithflynn/?hl=encourtesy of thedailymeal.com
https://www.thedailymeal.com/news/eat/teen-chef-prodigy-flynn-mcgarry-s-restaurant-panned-new-york-post-critic/100115
彗星の如く現れた19歳のティーンシェフ。料理界のJustin Bieberと言われ、今、レストラン業界が大注目する人物。
幼少期から料理に目覚め、セレブシェフThomas Kellerの著書「The French Laundry Cookbook」をバイブルに、Youtubeビデオやフードブログで料理のスキルを研究。食と食材への並々ならぬパッションと探究心を持ち日々腕を磨いている。11歳の頃には、自身のサパークラブを設立し、その後、Alinea, Eleven Madison Park, Almaといった米国の名だたるレストランのキッチンでも修業を重ねた。2015年、Time誌が選ぶ最も影響力のあるティーン30人に選出。
2017年、自身の初のポップアップレストラン「Eureka」(14コースから構成されたテイスティングメニューのみ。価格$160を提供)をウェストビレッジ地区にオープンし、大成功を収めた。翌年2018年、ローワーイーストサイド地区に自身の待望のレストラン「Gem」(https://www.gem-nyc.com/)をオープンした。
Gem店内は、店の手前がLiving Roomと呼ばれるカフェで、その奥にダイニングルームが設置されたディナーエリアがある。メニューは12コースのプリフィックスメニュー($155)のみで、ディナーパーティ形式でサーブされる。厳選された食材はもとより、食材の旨味を最大限に生かした料理の数々は高い評価を得ている。
Sam Schnur (フードブロガー)
https://www.instagram.com/thenaughtyfork/?hl=enhttp://thenaughtyfork.com/
courtesy of Miami New Times *1 courtesy of Neoreach *2
(*1)http://www.miaminewtimes.com/restaurants/meet-samantha-schnur-of-instagram-account-the-naughty-fork-10103163
(*2)https://neoreach.com/top-food-bloggers/
若干24歳のSam Schnurは、マイアミを拠点に活躍するフードブロガー兼食に特化した写真家。大人気フードブログ“The Naughty Folk”の設立者でもある。“The Naughty Folk”は、設立当初インスタグラムでSam の大好きなフード、ドリンクを写真に収め紹介していたが、現在では、完全に認可されたディジタルメディアニュースとマーケティング会社へと成長した。
大学を卒業したばかりのSamは、地元マイアミのレストラン、ホテル、主要なフードや飲料水ブランド500社以上とのコラボレーションを行ってきた業界でも引っ張りだこな存在。インスタグラムのフォロワー数、66万8千人、フェイスブックのファンページ185,000人, インスタグラムに投稿されたビデオの再生回数は、1400万回を記録。写真家としても活躍する彼女は、15分間の間にさまざまな角度から一皿30ショット以上の写真を撮る。彼女がインスタグラムに投稿する写真は、優に1ショット$4,000以上の値が付き、昨年のインスタグラムの収入は1200万円を超えるという。
Alessandra Peters (フードブロガー、The Foodie Teen著者)
http://thefoodieteen.com/courtesy of Happy Foodie*1 courtesy of Penguin co.uk *2
(*1)https://thehappyfoodie.co.uk/articles/exclusive-interview-alessandra-peters-the-foodie-teen-cookbook
(*2)https://www.penguin.co.uk/books/288131/the-foodie-teen/
Alessandra Petersは、フードブロガーで、レシピ開発者。2012年7月、セリアック病及び、多くの食物不耐性との診断を受けた。それまで大好きで食べていたジャンクフード、アイスクリーム、ピザの摂取を思い切って止めることで体調がよくなっていくことを実感。そのことを機に、摂取する食品が体に与える影響、我々が食べている食品は一体どこから来ているのか、食の機能や栄養上の価値をじっくりと調査し、プロセスされていない食材を使用した栄養満点で美味しいレシピを考案しブログに投稿し始めた。瞬く間に、同世代の読者から多くの反響を呼び、今では世界中に多くのブログの読者を持つまでに成長。2017年、18歳にして待望のレシピ本「The Foodie Teen」を上梓。現在インスタグラムのフォロワーは1万2500人。
食好きのGen Zの台頭によって、今後、食分野は益々面白くなっていくだろう。