◆成長し続ける米コーヒー市場
近年米国におけるコーヒーの消費量は年々増加の一途を辿っている。米国コーヒー市場は2017年から2018年にかけて3.8%以上上昇し、現在はおおよそ450億ドルの市場規模があると言われている。Coffee Statistics 2017(http://www.eimportz.com/coffee-statistics.php)によると、米国人口3億2千万人 (2019年4月3日付け)のおおよそ50%がエスプレッソ、カプチーノ、ラテまたはアイスコーヒー、コールドブリューコーヒーを消費。一人当たり一日の平均コーヒー消費量は3.1カップと過去最高の消費レベルに達していることがわかった。また、調査によると、35歳以下は通勤や移動途中にコーヒーショップなどでコーヒーを購入する傾向にあり、自宅外でのコーヒー消費量が増加。一方で、65歳以上のコーヒー愛用者の大半は主に自宅で、自分で淹れたコーヒーを飲んでいることが判明。
コーヒーに関するグローバルリサーチポータルAllegra World Coffee Portal(https://www.worldcoffeeportal.com/)によると、現在米国には35,616店舗のコーヒーショップがあり、2023年までには40,800店舗にのぼると予測されている。
今回は、米国に於けるコーヒー第四の波の兆しとSFの人気ロースターをご紹介させて頂きます。
◆第3の波が浸透した米コーヒー市場、現在のトレンドは「グルメ」コーヒーへのシフト
National Coffee Association (全米コーヒー協会)(http://www.ncausa.org/)が発表した2017年度の年次報告書によると、消費者が毎日消費しているコーヒーの60%が高品質で高価格な”グルメ”コーヒーに分類されるという。このようなトレンドが、NCAの報告書で指摘されるのは、1950年の創立以来初めてのことだという。このグルメコーヒーの消費を後押ししているのが、ミレ二アル世代や後続のZ世代(先発組み)といった若年層のコーヒー消費者の増加。急激に成長している若年層のコーヒー消費者は、酸味や苦味のあるブラックコーヒーではなく、コーヒーシェイクやフレーバーラテ等の甘いコーヒードリンクを好む。また持ち運び可能なready to drinkが必須で、ボトルコーヒー、フラペチーノ、コールド・ブリューなどコンビ二やグロッサリーストアで気軽に買えるものがうけている。
また、牛乳の代替として、アーモンドミルク、カシューミルク、オート、ライス、ココナッツ、マカデミアナッツから抽出されたミルクが台頭。特に、オート麦から抽出されるオートミルクは、アーモンドミルクに比べ、より環境に優しく、水の消費を抑え、値段も安価なものが多いことから、牛乳の代替品として注目されている。2017年以来、オートミルクの売り上げは425%増を記録している。
https://thespoon.tech/coffee-survey-lattes-reign-oat-milk-soon-to-be-top-alterna-milk/
◆第4の波の到来:サードウェーブからフォースウェーブへ
https://sprudge.com/denver-post-official-coffee-riding-fourth-wave-51898.htmlコーヒー第三の波を1990年代後半に迎え、その流れが既に定着した米国では、人々はコーヒーを”affordable luxury”(手の届く贅沢)とみなし、かつての一日を乗り切るためのカフェイン飲料から、コーヒーを手頃に楽しめる日常の嗜好品として考える人々が増えた。コーヒーを淹れるバリスタだけではなく、コーヒー生産者、ロースターも脚光を浴びた。1つの国、1つのコーヒー農園に絞り、ブレンドせずに提供する「シングルオリジン」の豆をフェアトレードで仕入れるのも特徴。品質を落とさないために、少量生産のみに徹し、こだわり抜いた豆の個性を失わないために、必要な分だけをローストする「浅煎り」で1杯ずつ丁寧に淹れられる。サードウェーブコーヒーとは豆へのこだわりと、アルチザンな生産方法に拘ったトレンドである。
現在、「コーヒー第四の波」が既に始まっているという。コーヒー豆のソーシングは、現地の小さな生産者とパートナーシップを結び、オーガニックで非常に高品質なスペシャルティ豆をダイレクトトレード・フェアトレードで仕入れ、仕入先の生産者には再投資するシステムを構築。
非常に高品質な豆を使用した手頃な水出し・浸漬式のコーヒーや、ニトロコーヒー(窒素を加えながらコーヒーをグラスに注ぐ)、コーヒーカクテルの登場に始まり、コンパクトな自宅用のコーヒー豆焙煎機の登場により、自宅焙煎が一般的になると予測される。日々グルメコーヒーを消費する人々は、次ぎは、拘りの豆を自宅焙煎し、より個々の嗜好に合うスペシャリティコーヒーを自分で探求し、コーヒーへの知識や理解を深めていく波になるのではないだろうか。
SFの人気ロースター:Saint Frank Coffee
2340 Polk Street (b/w Union Street and Green Street) San Francisco, CAhttps://www.saintfrankcoffee.com/
http://www.greysuitcase.net/blog/2016/3/7/saint-frank-coffee
http://www.greysuitcase.net/blog/2016/3/7/saint-frank-coffee
オーナーのKevin Bohlinが設立したコーヒーロースター。サンフランシスコのサードウェーブコーヒーの代表格のひとつであるRitual Coffeeでバリスタとして働いていた際に、生産者と小売の関係に着目。ホンジュラス、コスタリカ、グアテマラの旅で、最も複雑で最も美味しいコーヒー豆を供給できる地元の小さな生産者と出会ったことを機に、コーヒーの生産者と消費者の橋渡し役として、地元のコーヒー農家と直接パートナーシップを結び、ダイレクトトレード・フェアトレードで非常に高品質なオーガニック豆の仕入れに成功し、コーヒー豆を栽培する土壌から消費者の口に入るコーヒーまでの管理を撤退。また、地元の小さな生産者へ還元・再投資するシステムを構築したフォースウェーブ先駆けのロースター。現在はサンフランシスコ内に3店舗を展開。
Verve Coffee
2101 Market Street at Church Street San Francisco, CAhttps://www.vervecoffee.com/
https://www.bobcutmag.com/stories/verve-soon-to-open
https://www.foodbev.com/news/verve-coffee-flash-brew-coffee/
西海岸で今最も勢いのあるロースターとして注目されているのが、2016年日本初進出を果たした
Verve Coffee。農園と街の架け橋になることを、ブランドミッションに掲げる同ブランドは、コーヒー豆の栽培方法からコーヒーとしてサーブされるまで全ての過程に責任を持つことを謳う。ハリウッドセレブを常連にもつこのロースターは、メニューのオリジナリティと美味しさでは群を抜くといわれている。エスプレッソを炭酸でわったカフェトニック、24時間ゆっくり水出ししたコーヒーを専用サーバーで窒素を詰めながら注ぐニトロブリューコーヒー、エスプレッソとマッキアートが同時に楽しめるONE AND ONE, カモミールティーを豆乳で抽出したBOWL OF SOULやスペシャルティコーヒーの品種の中で最も注目を集めている品種「ELIDA ESTATE GREEN TIP GEISHA 」のハンドドリップが人気。
Wrecking Ball Coffee Roasters
2271 Union Street(b/w Steiner Street and Fillmore Street) San Francisco, CAhttps://www.wreckingballcoffee.com/
http://theshot.coffeeratings.com/2014/12/wrecking-ball-union-st/
https://storeyphotography.smugmug.com/Food/Wrecking-Ball-Coffee-Roasters/i-68pTZKS
サンフランシスコ ベイエリアを拠点に、コーヒーロースター、コーヒーバイヤー、コーヒー教育者として業界で30年以上のキャリアを誇り、”third wave coffee”という単語を生み出し、そのコンセプトを確立させた人物として知られているTrish RothgebとワシントンDCプレミアコーヒーバー「murky coffee」の設立者、バリスタコンペで何度も優勝し、Barista Guild of America’s Executive Councilのディレクター、 Specialty Coffee Association of Americaのボードメンバー他、コーヒー業界でその名を馳せるNick Choが2014年に設立したコーヒーロースター。賞受賞したエスプレッソドリンクのフルメニュー、ブリューコーヒー、ハンドドリップコーヒーを堪能できる。サードウェーブの熟成期真っ只中に誕生したWrecking Ball Coffee Roastersは、コーヒー第4の波のロースターを代表するような2店舗目をBerkleyに5月頭にオープン予定。