自粛ムードを自粛しよう

新型コロナウィルスの影響で、多くの業界で、消費に影響が出ている。
昨年10月の増税で消費の失速が始まった。さらに、この冬の暖冬で冬物商戦や寒さ対策の商品に影響が出た。

春節を中心にしたインバウンドの盛り上がりで取り戻せるかもと思った矢先に、コロナウィルスで渡航客が激減。百貨店の免税売上も2ケタ減と大きく落ち込んだ。
売上不振は、堅調な飲食と、イベントなどで取り返そうと目論んだものの、国内感染者の増加により、飲食店は不調に転じ、“不要不急の外出”を避ける動きや、各種のイベントが軒並み中止になったりしている。

テレワークの推奨で、オフィス街やターミナル駅も、普段よりも人が少なくなり、寄り道をせず、家路を急ぐ人が増えている。
コロナウィルスの影響を受けない消費という意味では、eコマースや宅配ビジネスと、生活密着型の業態には多少の期待がかかる。
いわゆる、「家ナカ消費」や「巣ごもり消費」という分野である。
春休みまで学校を休業にするという政府の要請によって、さらに家での消費や楽しみ、暇つぶしという分野には期待ができるはずだ。
また、マスクの品薄は続くものの、マスクの代わりになる商品や、自分や家族を様々なものからプロテクトする商品などは、これを気に関心が高まっていくだろう。

「宅配」でも「家ナカ」でも「巣ごもり」でも「プロテクト」でもいい、とにかく、今摘んではいけないのは消費の芽である。
「自粛」という気分が、しなくてもいいはずの消費の「自粛」へとつながっていくのは、これまでも天災などを始めとして多く経験してきた。
家の中でこんなことをすれば楽しいとか、宅配でこんなものまで注文できるというような、こんな時代だからこそ楽しいという気分を盛り上げないと、真面目な消費者たちは消費を「悪」だと思いこんでしまう。いまだからこそ「自粛」を「自粛」しないといけない。

著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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