「○○力アップ」というマジックワード


新型コロナウイルス問題が発生してからというもの、「免疫力」という言葉をネット等でやたらと目にするようになった。納豆は免疫力をアップするだの、免疫力を上げるにはヨーグルトがいいだの、中には免疫力を上げるヨガだの、免疫力アップのツボ、「免疫力アップのためには、筋力アップ」なんてものまである。

これらの説の多くが実証されておらず、医学的な根拠も乏しいものが多いらしい。そもそも、抗体システム自体がかなり複雑なので、単純に何かをしたり、食べたりすれば、コロナウイルスにかから
ないというわけではないらしい。ここまで書いて、どこかで近い話を聞いたことがあるような……と、思い出してみたところ、「女子力」だった。異性や同性から好印象を持たれるには、女子力をアップさせるべきという話が数年前に流行っていた。

トレーニングをして女子力を上げたり、習い事をして女子力をアップさせたり、カラダにいいものを食べると女子力が上がるという話もあった。「腸活」などは、免疫力アップでも女子力アップでも登場するキーワードだ。様々な方法で女子力を上げたら、男性の見る目が違ってきたとか、すぐに結婚できたなんていう「効果効能」を実証できないのも、免疫力とどこか共通している。

ただし、免疫力アップも女子力アップも、効果をてきめんに感じられるわけではないものの、何かの害を及ぼすものでもない。納豆やヨーグルトを食べて腸活に励んだり、筋力をつけたり、ダイエットしたり…と、日々の暮らしでいろんなことを意識して活動していれば、モテモテになったり、コロナウイルスをやっつけたりはできなくても、体調が良くなったり、やる気が向上したりという、別の効果は十分に期待できそうだ。ただし、スーパーで納豆を奪い合ったり、ヨーグルトを買い占めたりすると、免疫力は多少アップするかもしれないが、「人間力」は確実に下がるので、みなさん十分お気をつけください。

著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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