ものを売らず、発見・体験させることを目的とした「b8ta」が日本に上陸した。最新の商品を自由に試したり、説明を受けたりすることができる店だ。
消費者に商品を体験したいメーカーが「b8ta」に費用を払い、「b8ta」は店頭での消費者の行動をマーケティングデータとして返すという、RaaS(Retail as a Service)というビジネスモデルである。
それを解決したのが「b8ta」などのRaaSである。このようなビジネスモデルは、メーカーが消費者とのタッチポイントを模索する中で、オンラインではなく、リアルを重視したい場合の選択肢の一つになるだろう。多額の出店費用やインストラクターを用意ことが可能なメーカーであれば、商品を見せる・試せるショールームの出店もある。
リアルの物販が伸び悩む中で、新しいタイプの楽しいタッチポイントは商業施設の重要なコンテンツとして今後も増えるだろう。
このような販売を主目的にしない店舗が増える一方で、サブスクリプションモデルのような、商品を買わないで済む消費形態もある。今後は「所有」から「使用」になるといわれており、各企業もサブスクモデルにチャレンジ中だが、なかなか結果が出せていない。
弊社の調査(KCI Key Consumer Indicators by ifs vol.3「サブスクリプションに関する消費者調査レポート」)においても、映像・音楽などのコンテンツ系サブスクは定着しつつあるも、「モノ」のサブスクはまだまだ厳しそうだ。様々なモノを所有するにあたっては、メンテナンスなどの付帯費用がかかる。
サブスクの料金にはこれらの費用が含まれていることは理解できるものの、どうしても割高に見えてしまう。割高な料金を払って、かつ「所有」できないことがハードルになっている。
ちなみに、自動車の場合、おおよそ100万円を超える車を購入した場合には、車検証の「所有者」の欄はローン会社になっており、「使用者」の欄に購入者の氏名が記載されている。かなり昔から、自動車は「所有」から「使用」にシフトしていたのだと言えなくもない。
著者情報
第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。
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