コロナ禍は第4次卑屈世代を生むか?

コロナによる経済への打撃によって、就職戦線にも影響を与えている。様々な業界で2021年4月入社の新卒採用計画を中止したというニュースをよく耳にする。さらには業界のよっては、2022年度の新卒採用に関しても大幅縮小するという方針まで出されている。コロナの感染が拡大する春先までは、売り手市場と言われていただけに、急に暗雲が立ち込めた様相だ。もちろん、コロナの影響を受けない業種やコロナ禍で業績を伸ばす企業など、一律に就職難という訳ではないものの、特定の業界や業種を目指していた学生にとっては大きなショックである。
就職をめぐる状況が暗転したのは今回がはじめてではない。古くは1970年代のオイルショックの時期。これに影響を受けたのはifsでいうところの「DC洗礼世代」。あるいは「しらけ世代」と呼ばれた人たちである。この世代の1つ上の団塊世代が学生運動で社会に反抗していたのにも関わらず、高度成長期にうまいこと乗って、ちゃっかり就職したのに対して、その下のDC洗礼世代は就職難に遭い、なんだか損をした気分になった。
次はいわゆるバブル崩壊のあおりを受けた「団塊ジュニア世代」。学生時代はバブルの時期で輝く未来を想像していたのに、就職のタイミングでバブルが崩壊。人口ボリュームも多かったのも重なり、就職氷河期と呼ばれた。割りを食ったという意識も高く、その意識を今も引きずっている傾向がある。
第3次ともいえるのが、リーマンショック後の就職難。さらには東日本大震災後の就職難も続く。苦労して入社したにも関わらず、会社では「ゆとり世代」のレッテルと張られて、苦労のダブルパンチ状態。被害者意識を強く持つこととなった。
それぞれの世代とも、自分の就職のタイミングに何かが起こり、なぜ俺だけが?どうして私だけが?と考え、卑屈な価値観を持つようになってしまう。先行きが不透明な時代と聞くと、自分の苦労した過去が蘇り、ちょっと消費を控えたり、サバイバルの手段を考えたり、つい身構えてしまう。
コロナは4番目の卑屈世代を生むのか、それとも明るい未来を頭の中で描ける世代を生むのか注目したいところだ。



著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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