コロナ禍で非接触・非対面という対応が増えた。インターネットだけでなく、リアルな施設でも、非接触のビジネスモデルが増加中である。画像認証とAIを駆使したテクノロジー満載の無人店舗はもちろんのこと、自動販売機を活用したビジネスや、ほぼアナログに近い無人販売店も増加している。
中でも、冷凍餃子の無人店舗は各地で急増している。もちろん、おいしいということが、第一の成長の理由であるだろうが、それだけではない。移動中に見かける、中で買っている人がいる、
無人っていったいどうやって売っているのか、何故みんな買っているのかという、興味関心が心の中で増幅し、試しに行ってみる人が多い。冷凍庫から商品を取る、お金を賽銭箱のような箱に入れる、店を出る。あまりのアナログさに感心する。食べてみる、おいしい。人に伝えたくなる、というAISASの法則(※) に沿っていることがわかる。「無人である」ということを中心に興味や行動したい、シェアしたいという気持ちが高まっているのである。
ショッピングセンターでは、テナントスペースや隙間のスペースで、カプセルトイ(ガチャガチャやガシャポン)の台数が増加中である。まるでマンションのように、何列も何段も積まれたカプセルトイが増えている。キャラクターグッズはもちろんのこと、心が和むものから、意外性のあるもの、気持ちが悪いものまで、実用性というよりも、エンタテイメント性を売りにしている。
数年前に「あご出汁」の自動販売機が話題になったが、コロナ禍で、一風変わった自販機ビジネスが急増中だ。検索すると、マカロン、せんべい、焼き芋、ラーメン、クレープ、たまご・・・などの変わり種から、スキンケアコスメや薬などといった、大真面目なビジネスモデル展開。さらには、ティファニーのように、わざと自販機で展開することで、身近に感じてもらおうとするプロモーション主体のものもある。ありとあらゆるモノを自販機に乗せることで、新しい価値を生み出そうとしている。
無人=無機的なのではなく、無人だから、非接触だからこそ、好感触やエモーショナルなモノやコトを提供できる。これらは、ニューノーマル時代の大きなヒントになりそうだ。

※AISAS(アイサス)の法則とは、消費者が商品やサービスを購入するまでの行動プロセスを5段階で表したもの



著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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