復活メニュー【ifsマーケター連載:太田の目】

繊維月報の連載など、外部への執筆・講演でもおなじみの ifs名物プランナー太田敏宏による、時代を独自に読み解くコラム「太田の目」。
 
今回のテーマは、飲食店におけるメニューの「復活」ブームについて。過去に人気を得た限定商品を再度展開することの功罪を説きます。

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最近、外食チェーンを中心に増えているのが、人気メニューの復活。過去に定番だったが、様々な事情で廃番になってしまったものや、期間限定で展開して人気だったメニューを再び、限定で展開するというようなもの。

牛丼大手の松屋が、以前に期間限定で話題を呼んだ「マッサマンカレー」を復活させたり、「松屋復刻メニュー総選挙」で1位を獲得した「シュクメルリ鍋定食」を期間限定で展開したりしている。ファミレスのジョナサンは、「また食べたいメニュー」として、「カレー南蛮うどん」をはじめとする数種類のメニューを限定復活させている。

マクドナルドが昨年、「平成バーガー」と称して、過去に販売していたメニューを復活させ、レトロ風のCMを流していたのを覚えている人も多いのではないだろうか。さらにマクドナルドでは、過去にはレギュラーメニューだった「ベーコンポテトパイ」を、年1回、期間限定で販売するという復活のさせ方も取り入れている。

定番メニューだけでは、話題性が作れない。かといって、新規のメニューは当たり外れが大きい。過去に実績のある商品であれば、数量も読める。一定のファン層がいた商品であれば、SNS等での拡散も期待できるし、話題性も作れる。もう一度食べたい層のみならず、前回食べるのを逃した層や、新たに食べてみたいと思った層も取り込み可能だ。いにしえのメニューの復活であれば、「昭和レトロ」「平成レトロ」という風潮に乗ることさえも可能だ。

但し、この復活手法も、オールマイティではない。何度も繰り返していると、食傷気味になる。「どうせ、またしばらくすれば、復活するんでしょ。」と、絶対に行かなきゃならないという優先度が下がってくるし、期間や数量を限定した希少性も薄れてくる。

復活メニューの成功の鍵は、その商品のどこに魅力があったのかをしっかりと分析し、時代の気分やトレンドに合わせて、ここぞというタイミングで投入することだ。また、そのメニューの結果を、定番メニューの改善や新規メニューの開発にフィードバックすることも重要になってくる。復活メニューの使い方を間違えると、その業態自体の復活さえも危うくなってしまうのだ。

著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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