セルフレジ【ifsマーケター連載:太田の目】

繊維月報の連載など、外部への執筆・講演でもおなじみの ifs名物プランナー太田敏宏による、時代を独自に読み解くコラム「太田の目」。
 
今回のテーマは、セルフレジと変わりゆく店舗の在り方について。子供向けの「おみせやさんごっこ」ですら様変わりする現在、リアル店舗の行く末を案じます。
 
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もはや、セルフレジや無人レジは当たり前になりつつある。

とは言っても、コンビニやスーパーの話ではなく、子供向けのおもちゃの話である。おみせやさんごっこのためには、今も昔もレジは憧れのアイテムであり続けている。
バーコードなんて仕組みが無かった昔も、タイプライターのようなキーを打ち込むと、カチャカチャ回るアナログの表示板で合計金額が表示されていた。それがデジタル表示になり、バーコードがスキャンできるようになり、今はセルフレジや無人レジのおもちゃが主流になっている。現金以外にも、カードだって使えるし、スマホ決済だってできちゃう。ウソだと思う人は、検索エンジンで「セルフレジ おもちゃ」と検索してみてください。「アンパンマン」やら、「すみっコぐらし」やら、「リカちゃん」やらの最新式のセルフレジのラインナップが見られます。この先を考えると、レジを通過しなくても顔認証システムで決済できるおもちゃも登場するかも・・・。いや、これではおみせやさんごっこ自体が成り立たないではないか。

もともと、レジの「省人化」は、人件費の削減だけでなく、多忙な店舗スタッフの業務を軽減化し、他の業務や創造的活動にまわすという目的や、レジでのミスや強盗などの犯罪を未然に防ぐというメリットがあった。それが、今では専ら、募集をかけても、時給を上げても、人材が集まらず、レジを無人化することで人を減らすという「少人化」に使われている。店頭を無人化し、品出しやバックヤードの仕事を少ないスタッフでこなす。本末転倒になっている気がするのは、私だけだろうか?


品出しとバックヤード作業が中心のおみせやさんごっこに、子供たちは興味を持ってくれるのだろうか?。いや、それよりも、ごっこではないおみせやさん自体が成り立つかどうかが心配だ。
 

著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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