■ifsオリジナル世代区分
今もなお自分を主軸に行動するハナコ世代 vs ミーハーハナコに付き合いつつ、どこかで“安心”を担保にしたいハナコジュニア世代■ハナコ世代の今:
「“自分自身が主役”をますますエンジョイ!」
ハナコ世代が20代だった1980年代後半は、ファッションやインテリア雑貨、レストランなどがどんどん海外から輸入されていたバブル全盛期。マガジンハウスの「Hanako」を片手に年に一度は海外旅行に行くのが当たり前、それが結婚条件になるほど、海外への憧れ、特にヨーロッパ志向が強い人たちである。20代半ばで男女雇用機会均等法が施行され、総合職の門戸が開かれた。彼らの歩みとともに、育児休業法もでき、結婚しても子供ができても働き続けられる環境が社会的に整いつつあったが、キャリアを積み続ける人はまだ少数派であった。ただ、女性が活躍をする場は、大学時代の女子大生ブームから用意されていたこともあり、たとえ専業主婦になっても、お受験ママやPTAママなど、積極的に自分の価値をアピール。ママランチに勤しみつつも、趣味を仕事にするチャンスをうかがうなど“自己実現”を意識し続けてきた人たちである。この志向は男性もしかり。“オタク”という分野をつくり出し、自分の趣味・嗜好を深く掘り下げながら、社会人になってもその興味を途絶えさせることなく続けてきた。
現在、ある程度時間的な余裕ができ、住宅ローンや教育費支払の目処も立ち始めているハナコ世代は、カップル消費に向かうのか?と思いきや、「ようやく自分自身に思う存分投資できる」と夫婦ともに発言。20代に培われたミーハー度をそのままに、「自分自身が主役」意識に磨きをかける消費に拍車がかかりそうだ。
■ハナコジュニア世代の今:
「現状最適。状況次第で思い込みキャラ」
そんなハナコ世代に育てられたハナコジュニア世代は、幼少期から何でも買い与えてもう環境にあった人たちである。シックスポケッツ+α(親・両祖父母+独身のおじ・おば)のお財布が自分に用意されていた。特に、ハナコ世代が自分の自由な時間を確保するために妻側の実家と近接居住しているケースは多く、祖父母との関係は密。「お祖母ちゃんとは今でも一緒に買い物に行きます」など、今も往き来が頻繁に行われており、豊かさの中に身を置いている。
ただ、その一方で、彼らが生まれた頃から地球温暖化が社会問題になっており、小学校で環境教育がスタート。また、10代になる頃に世の中は不況真っただ中、ニートやフリーターが急増し、2003年には「13歳のハローワーク」が刊行され、企業訪問が授業に組み込まれるなど「いかに仕事を選ぶか」「働くことが大切か」の刷り込みが行われた。このような社会環境が、ミーハーなハナコ世代に育てられながらも、“安心”を担保に求めずにはいられない堅実なハナコジュニア世代を生み出した。彼らは先々の不安を頭の片隅に持ちながら、置かれている現実を直視し、状況を見極めた上で、無理をしない、その時できることをするというスタンスを保っている。不安定社会を生きる処世術が身についているのだ。
■ハナコ親子の今:
「互いに尊重。互いに消費を後押しする」
ミーハーゆえの情報量の多さや行動力を持つハナコ世代と、若者情報を持つハナコジュニア世代は、お互いの情報を共有しながら相乗的な消費を行っている。「母とは同じネイルサロンなんです。美容院とか岩盤浴とか身体に直接影響のありそうなものは母親と同じところに行っています。母親と一緒が安心。ギャルの友達は肌も強いので、安心できないから」とか「父とは文房具など雑貨をよく見に行きます」と、楽しそうに話すハナコジュニア女子。「この財布は母親に紹介された地元職人にオーダーして作ってもらいました。5万円しましたが、かなり気に入っていいます」とか「父親のクルマ好き、バイク好き、時計好き、音楽好きがそのまま受け継がれています」と、誇らしげに語るハナコジュニア男子。中には、「クルマを買ったら、まずは母を乗せてドライブしたい。うちは母息子でも仲良しだし、喜ぶ顔も見たい。これまでの人生でお世話になったお礼がしたいから」と、彼女がいながらにして母親との時間を優先させるかのような発言さえあった。
これまでの親子消費の代表である母娘消費はもちろんだが、母息子、父娘、父息子が互いに尊重し合いながら密に互いの消費に関わっていることが分かる。
これは、「○○だから」といって決して諦めずに、「やりたいことはやる」「欲しいものは買う」を貫いてきた親の楽しげな姿を、反抗するどころか身近な尊敬できる大人像として受けとめている子どもが多いことが背景にある。
それぞれの育った時代に影響を受け経済的感覚は全く異なるが、ハナコ世代に後押しされて、人生を歩んでいる感の強いハナコジュニア世代ゆえ、もう少しお金を持つようになったらそれなりの消費力を発揮していくのは間違いない。 この親子関係に今後とも注目である。